パーソナルジムの継続率を上げるために初回セッションでやることは、私の場合、動く前に話を聞くことと、帰る前に次の予約を一緒に取ることの2つです。
レッスンの中身は、そのあとで考えれば間に合いました。
私が運営しているのはピラティススタジオですが、マンツーマンで通ってもらう仕組みはパーソナルジムと変わりません。
この記事でいう初回セッションは、体験レッスンではなく、入会して最初に受けてもらう1回のことです。
開業1年目の私は、この1回をふつうのレッスンとして扱っていました。
その結果、入会から3ヶ月以内にやめる方が3割近くいました。
初回の進め方をどう変えたかを、私のスタジオの数字と一緒に書きます。
目次
入会から3ヶ月で抜けていった会員さん
開業してしばらく、私は退会の記録に「辞めた月」と「理由」だけを書いていました。
開業2年目の終わりに、そこへ入会した月を書き足してみました。
すると、辞める時期が入会から3ヶ月以内にかたまっていました。
開業から2年間で入会した方のうち、3ヶ月以内にやめたのは3割近く。
半年、1年と通ってくれた方は、そのあとはあまり辞めていません。
理由の欄で一番多かったのは「仕事が忙しくなった」です。
ただ、一人ずつ予約の履歴をさかのぼると、共通点がありました。
2回目の予約が、初回から2週間以上あいていたんです。
初回のあと、私は「次のご予約は、ご都合のいいときに予約システムからどうぞ」と言って見送っていました。
押し売りっぽく見られたくなかったからです。
忙しい方ほど、その「ご都合のいいとき」が来ません。
2週間あくと体の感覚も戻ってしまい、3回目の予約はもっと遠くなります。
仕事が忙しいのは本当だと思います。
でも、続かなかった原因はそれだけではありませんでした。
私が数えている継続率
継続率という言葉は人によって中身が違うので、私の数え方を先に書いておきます。
私が見ているのは、入会した方のうち、3ヶ月たった時点で会員として残っている人の割合です。
月ごとに入会した人数と、その人たちが3ヶ月後に残っているかを、表計算ソフトに手で入れています。
予約システムにも会員の履歴は残ります。
ただ、開業4年目に予約システムを乗り換えたとき、古い履歴の一部は移せませんでした。
手元の表を別に持っていたおかげで、比較が途切れずに済んでいます。
パーソナルジム全体の継続率の目安も探してみましたが、調べた範囲では、きちんとした統計は見つかりませんでした。
よそと比べるより、自分の店の数字を前の年と比べる方が役に立つと思っています。
私のスタジオでは、開業1〜2年目の継続率が7割ほど。
初回の進め方を変えた開業3年目以降は、9割前後で推移しています。
人数が少ないので、年によって上下はあります。
それでも、変える前と後でこれだけの差が出ました。
初回セッション60分の使い方
初回の進め方を変えたのは開業3年目、料金を改定したのと同じ時期です。
料金を上げる以上、最初の1回で「ここに通おう」と思ってもらえないと次がありません。
改定までの経緯は料金設定の記事に書いたので、ここでは初回の中身だけ書きます。
いまの初回は、通常のレッスンと同じ60分をこう分けています。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の15分 | マットに座って話を聞く。動かない |
| 15〜45分 | 動く。種目は4つまで |
| 45〜55分 | 今日の感覚を本人の言葉で話してもらう |
| 最後の5分 | 次の予約を一緒に取る |
動いている時間は30分しかありません。
初めてこの配分を組んだとき、これでレッスン料をもらっていいのか迷いました。
動かずに話を聞く最初の15分
体験のときにも目的は聞いています。
でも入会した日に聞き直すと、答えが変わっていることが少なくありません。
体験では「姿勢をよくしたい」と言っていた方が、入会の日には「デスクワークで夕方に背中が固まるのをなんとかしたい」と話してくれる。
一度体を動かしたことで、自分の体についての言葉が具体的になるのだと思います。
この15分で聞いているのは、次のことです。
- いちばん変わってほしいこと(体験のときの答えと比べる)
- 仕事や家のことで、通いにくくなりそうな時期
- 何曜日の何時なら、無理なく来られるか
- これまで運動が続かなかった経験があれば、そのときの理由
2つ目と4つ目は、退会の記録を見直してから足した項目です。
繁忙期が分かっていれば、その時期だけ回数を減らす相談を先にしておけます。
痛みや持病の話が出たときは、医療機関で相談済みかを確認します。
私は医療の資格を持っていないので、そこは判断しません。
1回目の種目は4つまで
開業1年目の私は、初回こそ張り切っていました。
リフォーマー(バネの抵抗を使うピラティスの専用マシン)の種目を8つほど組んで、一つずつ説明しながら進める。
せっかく入会してくれたのだから、いろいろ体験してほしいと思っていました。
ところが、終わったあとに会員さんから出てくる言葉は「難しかったです」でした。
覚えることが多すぎて、体の感覚に気持ちが向かなかったのだと思います。
いまは種目を4つまでに絞っています。
そのうち1つは、2回目でも必ず同じものをやると決めています。
2回目に同じ種目をやると、多くの方が「前より分かる」と言ってくれます。
その一言が出ると、3回目の予約はかなり取りやすくなります。
効果が出たかどうかは、1回では分かりません。
でも「分かるようになった」という感覚なら、2回目で作れます。
最後の5分で取る次の予約
一番大きく変えたのはここです。
いまは初回の最後に、2回目から4回目までの予約をその場で一緒に入れています。
最初の15分で来られる曜日と時間を聞いているので、相談はすぐ終わります。
無理にとは言いません。
「最初の1ヶ月は日にちを決めて通った方が、体の感覚をつかみやすいので」と理由を伝えて、本人に日にちを選んでもらいます。
私の場合、これで嫌な顔をされたことはほとんどありません。
むしろ「決めてもらえると助かる」と言われることの方が多いです。
押し売りっぽく見られるという心配は、開業前の私が勝手に大きくしていたものでした。
初回のあとに渡すメモ
レッスン後に渡すフィードバックのメモは、料金改定の頃から全員に渡しています。
初回のメモだけは書く項目を決めていて、次の4つです。
- 今日やった種目の名前(4つまで)
- 今日いちばん感覚がつかめていたところ
- 家でやるなら、これ1つだけ
- 次の回でやること
「家でやるなら1つだけ」にしているのは、宿題を3つ出していた時期があったからです。
3つ出すと、会員さんは1つもやらずに次の回へ来て、申し訳なさそうな顔をします。
1つなら、だいたいやってきてくれます。
メモは手書きで、写真を撮って予約システムのメッセージでも送っています。
紙をなくしても、スマホに残っているように。
3ヶ月後の振り返り日
初回の終わりに、もう1つ決めていることがあります。
3ヶ月後の振り返りの日です。
初回に、横向きの立ち姿の写真を撮らせてもらいます。
撮るのは会員さん本人のスマホで、スタジオでは保存しません。
体の写真を店が持つことに抵抗がある方もいるので、この形にしました。
3ヶ月後のレッスンの最初に、その写真と今の立ち姿を見比べてもらいます。
変わったと感じるかどうかは人によりますし、私から「良くなりましたね」と言い切ることはしません。
何が変わったと思うかを、本人に話してもらっています。
この日を決めておくと、会員さんの側にも「3ヶ月は続けてみる」という区切りができます。
私が入会3ヶ月後の数字を見ているのも、同じ区切りです。
それでも、3ヶ月より前に通う間隔があいてくる方はいます。
辞めたくなる前に出るサインと、そのときの対応は、別の記事にまとめます。
初回でやらなくなったこと
足したことばかり書いたので、やめたことも書いておきます。
ひとつは、回数券やグッズの案内です。
入会手続きの日に一度伝えていれば十分で、初回のレッスン中にもう一度出すと、売られている感じだけが残ります。
もうひとつは、体の気になるところを次々に指摘することです。
勤務時代のくせで、初回にあちこち見て「ここが固いですね」と言っていました。
本人が気にしていなかった場所を初回から言われると、通う楽しさより不安が先に立ちます。
逆に、続けるようになったこともひとつあります。
グループレッスン希望の方も、初回だけはマンツーマンで受けてもらっています。
料金はグループのままなので、その1枠はスタジオの持ち出しです。
それでも、ここで続く方が増えるなら安いと計算しています。
体験レッスンから入会までの流れも同じ時期に見直しましたが、それは入会率の話なので別の記事にします。
初回セッションを見直すときの順番
まず、退会の記録に入会した月を書き足してみてください。
3ヶ月以内に辞める方が多いなら、見直す場所はレッスンの中身より初回の進め方です。
私の場合、一番効いたのは帰る前に次の予約を一緒に取ることでした。
次が、最初の15分を話すことに使うことです。
どちらもお金はかかりません。
次に入会する方が来る日から始められます。