スタジオ経営で最初に見るべき数字は売上ではない

スタジオ経営で最初に見るべき数字は、私の場合、売上ではなく「来月の枠がいま何本埋まっているか」です。

売上は、先月に起きたことの結果です。
見た時点で、その月はもう終わっています。

来月の予約の埋まり具合なら、足りないと分かってから動く時間が残ります。

開業2年目までの私は、月末に売上を見るだけでした。
それで一度、夏に慌てたことがあります。

この記事では、そのとき何が起きたかと、いま毎週・毎月どの数字を見ているかを書きます。
経営の本でKPIと呼ばれているものを、ひとりのスタジオの大きさに合わせて絞った形です。

売上だけを見ていた開業2年目の夏

開業2年目の8月、売上が7月より2割近く落ちました。

気づいたのは9月の頭に、予約システムの売上の画面と通帳を見比べたときです。
理由はすぐに分かりました。
お盆の前後で、会員さんの予約がごっそり抜けていたんです。

考えてみれば当たり前です。
帰省や旅行で、8月に月4回通える方はそう多くありません。

問題は、それが7月の時点で分かっていたはずだということでした。
7月の終わりに予約のカレンダーを開けば、8月の枠が埋まっていないのは見えていました。

私が見ていたのは、毎月の売上の合計だけでした。
カレンダーは毎日開いていたのに、それを数として見ていませんでした。

8月に持てたレッスンは、数えてみると44本です。
目標の60本に16本足りません。

お盆が明けてから、慌ててGoogleビジネスプロフィールに空き枠の案内を出しました。
埋まったのは2枠だけです。
月の半ばを過ぎてから動いても、残りの日数が足りませんでした。

その月は、家賃とマシンの割賦を払ったら、自分の取り分がほとんど残りませんでした。

売上は「単価×本数」の結果

あとから考えると、売上の数字だけを眺めても次に何をすればいいかは出てきません。

売上は、1本あたりの単価と、月に持ったレッスンの本数を掛けた結果です。
単価は料金表で決まっているので、月ごとに大きくは動きません。
動くのは本数の方です。

私の場合、必要な売上は月58万円で、そこから逆算すると月60本が目標になります。
この逆算のやり方は料金設定の記事に書きました。

ひとりで回せる上限は月70本強です。
上限が決まっている以上、見るべきなのは「60本に届きそうか」の一点になります。

そして本数は、売上と違って月が始まる前から数えられます。
予約が入った時点で、来月の本数はもう決まり始めているからです。

いま見ている数字と、見る頻度

いま私が見ている数字は、頻度ごとに分けるとこうなります。

数字見る頻度分かること
来月の予約済みの本数毎週月曜来月の売上がどこまで見えているか
体験レッスンの申し込み数毎週月曜2〜3ヶ月先の会員数
入会3ヶ月後の継続率毎月初回からの流れが機能しているか
売上と通帳の残高毎月必要な58万円に届いたか

売上は一番下です。
見なくていいわけではなく、確かめる順番が最後というだけです。

来月の予約済みの本数

毎週月曜のレッスン前に、予約システムのカレンダーを翌月に切り替えて数えます。
プライベートは1枠1本、グループは枠の数と入っている人数を別々にメモしています。

書いているのは、受付の机に置いている普通のノートです。
日付、来月の本数、グループの人数の3つを1行に書くだけなので、5分もかかりません。

始めた最初の数ヶ月は、数字を見ても良いのか悪いのか判断できませんでした。
比べる相手が、まだノートの中にいなかったからです。

何年かメモを続けて、目安が分かってきました。
私のスタジオでは、前の月の20日の時点で来月分が45本ほど入っていれば、最終的にだいたい60本に届きます。
残りの15本ほどは、月が始まってから都度で入る予約です。

20日の時点で40本を切っていたら、動き始める合図にしています。

体験レッスンの申し込み数

体験の申し込みは、私の場合で月に3〜4件ほどです。
そのうち6割ほどが入会してくれます。

体験の数は、その月の売上にはほとんど関係しません。
効いてくるのは、入会した方が通い始める2〜3ヶ月先です。

なので、体験の申し込みが2週続けてゼロだったら、Googleマップの店の情報やInstagramのプロフィールを見直すようにしています。
営業時間や予約ボタンが古いままになっていないかを確かめるだけでも、原因が見つかることがあります。

入会3ヶ月後の継続率

入会した方のうち、3ヶ月たって残っている人の割合です。
私の場合は9割前後で推移しています。

ここが下がると、体験をいくら増やしても会員数は増えません。
継続率の数え方と、初回のレッスンで変えたことは、継続率の記事にまとめました。

本数が足りないと分かったときにやること

20日の時点で40本を切っていたら、次のことをやります。

  • 空いている枠の日時を、Googleビジネスプロフィールの投稿で案内する
  • 既存の会員さんに、振替や追加で入れる枠があることを伝える
  • どの曜日と時間帯が空いているかを見て、次の月の枠の出し方を変える

一番効くのは2つ目です。
新しい方を探すより、すでに通っている方が1回足してくれる方がずっと早く埋まります。

案内は、レッスンの終わりに口で伝えるのが基本です。
「来月の第2週の火曜と木曜の夜が空いています」と日時まで言うと、その場で入れてくれる方がいます。
20日から月末までの10日ほどで、だいたい5〜8本はこれで埋まります。

3つ目は、時間がかかるけれど大事な作業です。
私のスタジオは平日の夕方以降と土曜の午前が埋まりやすく、平日の昼間は思うほど埋まりません。
空きやすい枠を減らして、埋まりやすい時間帯に寄せる調整は、この数字を見るようになってから始めました。

8月だけは、いまは最初から本数を少なく見積もっています。
6月のうちに会員さんへ夏の予定を聞いて、7月に回数を寄せてもらう方もいます。

見るのをやめた数字

逆に、以前はよく見ていたのに、いまはほとんど見なくなった数字もあります。

ひとつはInstagramのフォロワー数です。
私のスタジオのアカウントはいま2,800人ほどですが、新しく来てくれる方は、Instagramよりも検索やGoogleマップ経由の方が多いです。
フォロワーが100人増えた月に、体験の申し込みが増えなかったことは何度もありました。

もうひとつは、Googleビジネスプロフィールの閲覧数です。
私の場合は月1,800前後で、月によって数百は上下します。
上下するたびに一喜一憂していましたが、体験の申し込み数とはっきり連動しているようには見えませんでした。

どちらも、増えればうれしい数字です。
でも、来月の本数に届くまでの距離が遠すぎて、見ても次にやることが決まりません。
いまは、体験の申し込みが減ったときに原因を探す材料として開くくらいです。

売上を見るのは月に一度

売上は、月の初めに一度だけ見ています。

やることは2つです。
予約システムに出ている売上と、通帳に入った金額が合っているかを確かめる。
それから、月58万円に届いたかどうかを見る。

届かなかった月は、先に書いた本数のメモを見返します。
たいていは、前の月の20日の時点で本数が足りていませんでした。
売上が落ちた理由は、売上の数字の中ではなく、ひと月前の予約のメモに書いてあります。

家賃が売上に対してどのくらいの割合なら耐えられるかという話も、同じ帳簿から出てきます。
ただ、これは物件を決める前に考えておきたい話なので、別の記事にします。

これから数字を見始める方へ

全部を一度に始めなくていいと思います。

最初は、毎週同じ曜日に来月の予約が何本入っているかを数えて、ノートに書くだけで十分です。
3ヶ月続けると、自分の店の「この時点でこれだけ入っていれば大丈夫」という線が見えてきます。

その線が分かれば、売上の数字に驚かされることはだいぶ減ります。
私は8月に一度驚いて、それでやっと数え始めました。